カテゴリーアーカイブ 研究紹介

投稿者:山本研究室

音声対話型検索におけるシステムの応答の長さが検索行動へ与える影響の分析

概要

本研究では,音声のみでシステムとユーザが検索を行う音声対話型検索におけるシステムの応答の長さとユーザの検索行動の関係について調査する.音声対話型検索では,長い応答はユーザの認知的負荷が高く,特に比較や意思決定を伴うような複雑な検索タスクにおいてはその影響は大きいと考えられる.そこで本研究ではシステムが応答を端的に要約して応答する短応答型提示を提案する.実験のため,既存のAPIを利用し実世界のおける音声対話と近い形で音声対話型検索を可能とするシステムを構築した.実験では,通常の長い応答をユーザに返すシステムと,短い応答を返す提案システムの2つを用いて実験参加者に検索を行ってもらった.また,検索タスクの複雑性と応答の長さとの関係を明らかにするため,複雑な検索タスクと簡単な検索タスクで実験を行った.実験の結果,短い応答を返す提案システムの方が,検索タスクの複雑さによらずユーザ認知的負荷が減少する傾向にあり,その結果,タスクのサマリ結果にシステムから得た情報を多く含んでいることが明らかになった.一方で,ユーザのサマリ内容は,長い応答を返すシステムよりも考察や分析の質において劣る傾向にあった.ユーザのクエリを分析した結果,探索的検索を促すために,初期段階で広範囲に情報を提示するシステム応答戦略の必要性が示唆された.

書誌情報

飛岡 憲,山本 岳洋,大島 裕明:音声対話型検索におけるシステムの応答の長さが検索行動へ与える影響の分析
第17回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(DEIM2025), 3E-02, 2025年3月.

スライド

投稿者:山本研究室

音素の類似性による対話型駄洒落の生成

概要

本研究では,日本語における音韻の類似性に基づく言葉遊びの一形態である駄洒落に注目し,対話型駄洒落の生成手法を提案する.駄洒落とは,同一または非常に類似する音韻を持つ言葉を用いて遊ぶ言語的な遊戯であり,文中に音韻が類似する単語の集合が存在することによって特徴づけられる.本研究のアプローチは,ユーザから任意のテキスト(発話文)を受け取り,その中から特定の単語の音韻に類似する単語やフレーズを用いて,発話に対する面白い応答(返答文)を生成するものである.提案手法は,検索と生成,ランキングの3 つのステップから構成されている.まず,検索のステップでは,音素の類似性に基づいて音韻が類似する単語やフレーズを検索する.次に,生成のステップでは,得られた単語やフレーズを返答文に含めるような制約を課したプロンプトを大規模言語モデルに入力することにより,対話型駄洒落の制約を満たした返答文の候補を生成する.最後のランキングのステップでは,生成された返答文の候補を対話の自然らしさでランキングし,もっとも自然な返答文を出力として採用する.評価実験では,人手による評価を通じて,生成された返答文が対話型駄洒落として適切かを評価した.

書誌情報

Wang Yilin, 山本岳洋, 大島裕明: 音素の類似性による対話型駄洒落の生成, 第17回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(DEIM2025), 8H-02, 2025年3月.

スライド

投稿者:山本研究室

アドホック検索タスクにおけるモデルマージの効果検証

概要

本研究では,アドホック検索タスクにおけるモデルマージの有効性について検証する.モデルマージは,複 数のモデルの異なる特性を組み合わせて基盤モデルを構築し,計算コストを抑えつつ性能を向上させる手法として注 目されている.我々は,モデルマージをアドホック検索タスクに適用することで,短時間かつ低コストで検索モデル の性能を向上させられると考えた.そこで本研究では,検索タスクに対応するようファインチューニングされたモデ ルと,検索能力は持たないが特定のドメインに特化するように継続事前学習されたモデルを重みレベルで線形にマー ジし,医療および日本語ドメインにおける文書検索性能への影響を調査した.実験の結果,モデルマージによって検 索性能が向上するケースが確認され,特に検索モデルの重みに比重を置いた場合に高い性能が得られる傾向が見られ た.この結果は,アドホック検索タスクへのモデルマージの適用可能性を示唆し,低コストかつ高性能なドメイン特 化検索モデルの構築に貢献するものと考えられる.

書誌情報

佐々木泰河, 山本岳洋, 大島裕明, 藤田澄男: アドホック検索タスクにおけるモデルマージの効果検証, 第17回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(DEIM2025), 1E-05, 2025年3月.

スライド

投稿者:山本研究室

類似商品のレビューを用いた評価情報補完

概要

本研究では,新商品やマイナーな商品などのレビューが少ない商品に対して,類似する商品につけられたレビューを用いてレビューを補完する手法を提案する.
たとえば,ユーザがあるテレビの新商品について調べているとき,「どれぐらい場所をとるのか」というクエリに対して,大きさが類似する商品につけられたレビューを検索しユーザに提示するというものである.これにより,ユーザが商品購入を行う上で参考になる情報を増やすことができる.この手法を実現するために,本研究では大規模言語モデル(LLM)を用いる.具体的には,まずLLMを用いて類似商品などのレビューに現れる評価がどの属性について言及されているのかを抽出する.その後,ユーザが入力した調べたいことから検索中の商品の属性に関連するものを取り出し,その属性が類似する商品から属性について述べている評価を検索することで補完を行う.評価では,テレビを対象にいくつかのクエリにおいて,調べたいことと各商品属性との関連性判定の精度,および検索中の商品のレビューと提案手法で出力されたレビューの類似度を測定した.調べたいことと商品属性との関連性判定の精度は,$F_1$値が0.833と高いという結果になった.また,検索している商品の実レビューとの類似度評価についても,ランダムで商品を選んだ場合より約1ポイント高いという結果になった.

書誌情報

藤井真梨乃, 山本岳洋, 湯本高行: 類似商品のレビューを用いた評価情報補完, 第17回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(DEIM2025), 7E-05, 2025年3月.

スライド

投稿者:山本研究室

大規模言語モデルを用いた商品比較のためのレビュー集約

概要

本研究では,大規模言語モデルを用いたレビュー集約による商品比較表の作成手法を提案する.比較表とは,2つの商品の各観点に対してどのような評価をしているレビューが何件あるかを一覧することのできる表である.大規模言語モデルを用いて比較表を作成することで,オンデマンドで表を作成し,商品に応じて比較する観点を変更することができる.提案手法では,大規模言語モデルを用いてレビューから観点と評価を抽出し,類似している観点,評価のクラスタリングを行うことで観点ごとに評価を対応付けた表を作成する.楽天市場のレビューデータセットを用いて大規模言語モデルにより自動的にレビューを集約し,商品の比較表を作成し,商品の比較に有用であるかをユーザ実験を通して検証した.

書誌情報

中井香那子, 山本岳洋, 大島裕明:大規模言語モデルを用いた商品比較のためのレビュー集約
第17回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(DEIM2025), 3A-03, 2025年3月.

スライド